ウマ娘がパワプロに訴えられた
こんなニュースがありました。結論からいうと「お金取るのは結構難しいんじゃないかな。」って思います。
ゲームクリエイターなら知っていて当然教養かと思いますが、一応記事にしておきます。
要約すると、大手ゲームメーカーのコナミが、ウマ娘の育成システムがウチのゲーム(パワプロのサクセスモード)のパクリじゃね?という事です。
検証
両方プレイしたことある人はもうお分かりだと思いますが、ぶっちゃけ似てますww
こっちがウマ娘の育成画面。
![](https://origiaworks.com/wp/wp-content/uploads/2023/06/4e429d8a591891def4ca65a82b9a1952e0e57685-168x300.jpg)
そしてこっちが元祖パワプロのサクセスモードの画面。
![](https://origiaworks.com/wp/wp-content/uploads/2023/06/570cb56334c7d-300x236.jpg)
ですが、それが特許の侵害になるかというとまた別の問題になります。
ティアリングサーガ騒動
![](https://origiaworks.com/wp/wp-content/uploads/2023/06/6179MA9SR6L.jpg)
以前にも任天堂が著作権を巡って訴訟を起こす騒動がありました。早い話が、ティアリングサーガってウチのゲーム(ファイヤーエンブレム)のパクリじゃね?という事です。
上記の記事からポイントをまとめると、
- 武器の名前が同じで性能も同じ
- 二つの軍を交互に操作するターン制という戦闘システムが同じ
- ファイヤーエンブレムのキャラがティアリングサーガに登場する
- ファイヤーエンブレムの地名がティアリングサーガで登場する
これも一部で、ジョブが同じとかシナリオに出てくるストーリーが繋がってるとかがあります。
で、どうなったか?
まともな感覚をお持ちの方は「おいおい、さすがにそれはパクリだろww」って思いますよね。結果は、ファイヤーエンブレムの名前を使ってティアリングサーガを宣伝したことに対して7600万円の賠償を支払うことになりました。
つまり、著作権の侵害については訴えが認められなかったということになります。この件はレアケースな気もしますが…。
ゲームにおける著作権の侵害とは
話を戻します。
例えば、キャラクターがジャンプして敵をふみつけながらゴールを目指す横スクロールアクションがあっても著作権で保護されてませんよね。
マップを移動しながら敵と戦ってレベルアップして装備を強化して魔法を覚えたりするRPGがあっても著作権で保護されてないと思います。
つまり、ゲームのルールについては著作権で保護することは難しいということです。
じゃあ、逆に何がアウトなの?
国内の著作権を分類(第10条第1項)すると、
言語の著作物 | 論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など |
---|---|
音楽の著作物 | 楽曲及び楽曲を伴う歌詞 |
舞踊、無言劇の著作物 | 日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け |
美術の著作物 | 絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品も含む) |
建築の著作物 | 芸術的な建造物(設計図は図形の著作物) |
地図、図形の著作物 | 地図と学術的な図面、図表、模型など |
映画の著作物 | 劇場用映画、テレビドラマ、ネット配信動画、アニメ、ビデオソフト、ゲームソフト、コマーシャルフィルムなど |
写真の著作物 | 写真、グラビアなど |
プログラムの著作物 | コンピュータ・プログラム |
という感じで分けられます。例としては以下のようになります。
- ゲーム内のキャラが他のゲームのキャラとセリフが全く同じ×→言語の著作物(ただし、短いものは△)
- BGMが千本桜×→音楽の著作物
- 名前は登場しないが、カービィと同じ見た目のモブキャラが登場する×→美術の著作物
今回のウマ娘騒動では?
擬人化した馬の女の子にトレーニングをさせたらステータスが上昇することは誰でも思いつくことですし、疲れてきたら休ませる、やる気が無くなってきたら気分転換させる、体力が少なくなってきたらトレーニングの成功率が下がるなどの表現部分は著作物に該当しないと思います。
UIや各ステータスのランク付けといった描画的な部分が似ているというところも、育成ゲームという同ジャンルである以上、著作権で保護というのはちょっと無理じゃないかなーと思います。
もしかしたら著作権を侵害してるかもしれない部分
ワンチャンお金取れるとすれば、サポートカード(パワプロではサポートデッキ)による能力の上昇率の変動などの独自の育成システム(プログラムの著作物)ではないかと思います。
ただ、1人のキャラを育てる際、協力してくれる仲間を複数選択してゲームを開始するというのはゲーム上のルールのような気もします。
育成ゲームのこれからの新しいスタンダートとして「サポートキャラを取り入れた育成システム」という扱いになるのではないでしょうか。
まとめ
ゲーム制作における著作権で保護できるのは、創作性が認められる文字や音楽、プログラムなど多岐にわたるが、遊び方やルールについては著作権で保護することは難しい。
最後に…
私が昔すごくハマってた「サマナーズウォー」というゲームがあって、モンスターにルーンという装備を6つ付けることができるのですが、それをパズルみたいにはめて自分だけのステータスに仕上げるというシステムがありました。
そのあとに「エピックセブン」という作品が出て、そのルーンシステムがほぼ同じでした。いや、ほぼというか完全に同じでしたww
それはそれで、サマナーズウォーのようなルーンによる育成RPGが、「ルーンをパズルのように組み替えて自分だけのキャラを作り上げるタイプのRPG」という新しいジャンルの形成に一役買ったのではないかと思います。
個人的としては、ゲームにおいてのインスパイア(悪くいうとパクリ)に関して、ネガティブな印象はなくて、このパクリパクれを繰り返してゲームってより面白く、奥深くなっていくんだろうなーと思っています。
コメント