【ソシャゲ業界オワタ】バンク・オブ・イノベーション、セガから10億円の損害賠償請求!

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はじめに

2024年10月、ゲーム業界に衝撃が走りました。「メメントモリ」を運営するバンク・オブ・イノベーション(BOI)に対して、セガが特許権の侵害を理由に約10億円の損害賠償を請求する訴訟を起こしたと報じられました。

本件は、スマートフォン向けRPG「メメントモリ」のゲームシステムの一部が、セガの保有する特許技術に抵触しているとされるものです。

問題の特許とは?

セガが主張する特許内容の詳細は現在公表されていませんが、複数の報道によれば、「プレイヤーの操作に応じた演出切り替え」や「ゲーム進行中のキャラクター育成要素の提示方法」に関する特許が争点になっている可能性があります。

このような技術は、近年のスマホRPGでは一般的な機能として採用されており、特許の適用範囲や侵害の有無が業界内でも議論を呼んでいます。

訴訟の背景

セガは、BOIが運営する『メメントモリ』およびサービスを終了した『幻獣契約クリプトラクト』が、自社の保有する5件の特許権を侵害していると主張しています。

両社は特許権の実施許諾条件について協議を重ねてきましたが、合意に至らず、セガは訴訟の提起に踏み切りました。

争点となる特許とゲームシステム

セガが主張する特許権侵害の対象となる特許は以下の5件です:

  1. 特許第5930111号:同一キャラクターを複数所持した際に、そのキャラクターの能力を強化する仕組み(いわゆる「限界突破」)に関する特許。
  2. 特許第6402953号:ガチャを一定回数回すことで、特定のレアキャラクターを必ず取得できる「天井システム」に関する特許。
  3. 特許第6891987号:同種のキャラクターを自動抽出し、一括で合成するシステムに関する特許。
  4. 特許第7297361号:特許第6891987号の分割出願で、同様の内容を含む特許。
  5. 特許第7411307号:特許第6402953号の分割出願で、天井システムに関する特許。

これらの特許は、スマートフォン向けゲームにおけるガチャやキャラクター育成、合成などのシステムに関わるものであり、『メメントモリ』や『幻獣契約クリプトラクト』において、これらのシステムが実装されていることが問題視されています。

だいじろ
だいじろ

限界突破・ガチャ天井・一括合成。昨今のソシャゲでは実装して当たり前の機能だけあって、個人・企業を問わず注目せざるを得ない。

バンク・オブ・イノベーションの対応は?

BOIは、「現時点では訴状の内容を精査中であり、当社の知的財産権を尊重する立場に変わりはない」とコメント。今後、法的措置も含めた対応を検討していく方針としています。

また、BOI側は「メメントモリのサービス運営には影響はない」とも発表しており、ユーザーに向けて冷静な対応を呼びかけています。

だいじろ
だいじろ

そもそもメメントモリは、Live2Dによるキャラの描画・放置による育成・キャラの進化など、システムの大部分でAFKアリーナを模倣している。「知的財産の尊重」とは、正直疑問ではある。

ゲーム業界全体への影響は?

ゲーム開発における特許問題はこれまでも幾度となく注目されてきましたが、今回のような大型タイトルに対する高額請求は稀です。

他のゲーム開発会社にとっても、類似機能を有するタイトルのリスク評価や、特許クリアランスの重要性が改めて浮き彫りになっています。

もしセガ側が勝訴した場合、判例として大きな前例となり、他社にも波及する可能性が高いと見られています。

影響を受けそうな大型タイトルの例

特許第5930111号(限界突破)

  • グランブルーファンタジー(Cygames) – 2014年にリリースされたスマートフォン向けRPGで、同一キャラクターや武器を重ねることで能力を強化する「上限解放」システムを採用しています。
  • Fate/Grand Order(Aniplex) – 2015年にリリースされたスマートフォン向けRPGで、同一サーヴァントを重ねることで宝具レベルを強化する「宝具強化」システムを導入しています。
  • ウマ娘 プリティーダービー(Cygames) – 2021年にリリースされたスマートフォン向け育成シミュレーションゲームで、同一キャラクターやサポートカードを重ねることで能力を強化する「上限解放」システムを実装しています。
  • 原神(miHoYo) – 2020年にリリースされたオープンワールド型アクションRPGで、同一キャラクターを重ねることで「命ノ星座」を開放し、能力を強化するシステムを採用しています。
  • ドラゴンボールZ ドッカンバトル(バンダイナムコエンターテインメント) – 2015年にリリースされたスマートフォン向けRPGで、同一キャラクターを重ねることで必殺技レベルを強化する「技上げ」や、潜在能力解放による「限界突破」システムを導入しています。

特許第6402953号(ガチャ天井)

  • プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(セガ) – ガチャを回すと1枚もらえるガチャシールを300枚ためると、ピックアップキャラ1体との交換が可能です。
  • アークナイツ(Yostar) – 100回のガチャで星6キャラが確定。51回目から1回ごとに2%ずつ排出率が上がるシステムも導入されています。
  • ヘブンバーンズレッド(WFS) – 200回のガチャでピックアップキャラを獲得できる天井システムを実装。開催ガチャの期間が過ぎると別のポイントに変換され、キャラの育成に利用できます。

今後の注目ポイント

  • セガが主張する特許の具体的な内容と範囲
  • BOIの反論内容および技術的根拠
  • 裁判所の初期判断(仮処分の有無や和解交渉の行方)
  • 他社タイトルへの波及影響

今後の法廷闘争の行方によっては、スマホゲームの開発手法そのものに影響を及ぼす可能性もある今回の訴訟。業界関係者やゲーマーにとっても、目が離せない展開となりそうです。

おわりに

注意:ここからはあくまで個人的な意見です。

ゲームとは、「模倣」と「創造」の連鎖でこれまで発展してきました。

サマナーズウォーのルーンシステムがエピックセブンで採用されていたり、AFKアリーナの放置育成システムがメメントモリで採用されていたり、パワプロのサクセスモードの要素をウマ娘が取り入れていたりします。

キャラを合体させてより強いキャラにすることや、パチンコでも採用されているようにガチャの天井などは、誰でも思いつく思想だと私は思います。

もしこれを「創造」と定義されてしまえば、未来のゲームクリエイター達は模倣の檻に閉じ込められ、新たな思想の創造への足枷となることは間違いないでしょう。

一人のゲームクリエイターの端くれとして、一人のゲーム好きオジサンとして、そうならないことを強く願います。

ゲ制最高。

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